世界のサイトハウンド図鑑|イタグレ・ウィペットから世界の希少な猟犬まで
世界には、まだ知らないサイトハウンドがいる イタリアングレーハウンド、ウィペット、グレイハウンド。 「サイトハウンド」と聞いて、まずこのあたりの犬種を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 長い脚、深い胸、細く引き締まった身体。 そして、獲物を目で捉え、そのスピードを生かして追うために発達してきた犬たち。 私自身、サイトハウンドという犬たちがとても好きです。 でも改めて世界に目を向けて調べてみると、私たちが普段目にする犬種は、その世界のほんの一部でした。 Instagramでは全4回に分けて「世界のサイトハウンド図鑑」をご紹介しました。 今回は、その内容をひとつの記事にまとめてみたいと思います。 サイトハウンドとは? サイトハウンド(Sighthound)は、その名の通り、主に優れた視覚と走力を生かして獲物を追ってきた犬たちです。 FCIではGroup 10が「Sighthounds」とされ、長毛・飾り毛を持つタイプ、粗毛タイプ、短毛タイプの3セクションに分類されています。 しかし、世界に目を向けると、それだけではありません。 国際的な犬種団体に正式登録されている犬種だけでなく、その土地で何世代にもわたって狩猟犬として受け継がれてきた在来のサイトハウンドも存在します。 そのため「世界にはサイトハウンドが全部で何犬種いるの?」という問いに、単純なひとつの数字で答えることは難しいのです。 Vol.1|よく知られているサイトハウンドたち 最初にご紹介したのは、 イタリアングレーハウンド ウィペット グレイハウンド サルーキ ボルゾイ アフガンハウンド という、比較的名前を知られている6犬種です。 同じサイトハウンドでも、大きさも被毛もシルエットもかなり違います。 イタリアングレーハウンドのような小型犬もいれば、グレイハウンドのような大型で高速走行に優れた犬もいる。 長い被毛を持つアフガンハウンドと、極めて短い被毛を持つグレイハウンドも、同じサイトハウンドの仲間です。 形だけを見ると大きく違う犬たちですが、その身体には「走る」という目的のためにつくられてきた共通点が見えてきます。 Vol.2|ヨーロッパ・アフリカに広がる多様な姿 続いて紹介したのは、 アザワク スルーギ ガルゴ・エスパニョール マジャール・アガール チャート・ポルスキ スコティッシュ・ディアハウンド アイリッシュ・ウルフハウンド です。 ここまで来ると、「サイトハウンド=細くて華奢な犬」というイメージだけでは説明できなくなってきます。 砂漠や乾燥地域で発達した犬。 ヨーロッパで大型の獲物を追ってきた犬。 強さや骨格のしっかりした犬。 同じ“獲物を視覚で捉えて追う犬”でも、暮らしてきた土地と役割によって身体は変わっていきます。 Vol.3|犬種標準だけでは見えてこないサイトハウンドの世界 3回目では、さらに知られていない犬たちへ。 カザフ・タズィ タイガン ホルタヤ・ボルザヤ(チョルタイ) サウス・ロシアン・ステップ・サイトハウンド アフガン・アボリジナル・ハウンド 陝西細狗(Shaanxi Xigou) をご紹介しました。 ここからは、国際的に統一された犬種標準だけでは語りきれない犬たちも登場します。 たとえばカザフ・タズィは、2024年9月3日にFCIから暫定公認され、現在はGroup 10・Section 1に分類されています。 一方で、地域や各国の団体によって保存・記録されている犬たちもいます。 ここが今回調べていて特に面白かったところでした。 「犬種」という名前が付いて国際的な標準が整備される以前から、人と犬との暮らしは存在しています。 土地の気候、地形、獲物、そして人々が犬に求めた役割。 そうしたものが積み重なって、その地域ならではの姿が作られてきたのだと思います。 Vol.4|インドに残るサイトハウンドたち 最終回ではインドへ。 カンニ チッピパライ マドホル・ハウンド/キャラバン・ハウンド ランプール・ハウンド/ランプール・グレイハウンド ラジャパラヤム マラータ・ハウンド をご紹介しました。 インドの犬たちを調べると、同じ国の中だけでもかなり姿が違います。 細く乾いた身体を持つ犬もいれば、より力強さを感じる犬もいる。 真っ白なラジャパラヤムのように、外見上とても特徴的な犬もいます。 そしてこの地域の犬たちは、資料によって名称や分類、体格の記載などが異なる場合があります。 「分からないことを、分かったことにしない」。 今回のシリーズでは、そこも大切にしました。 私がサイトハウンドに惹かれる理由 世界中の犬を見て改めて感じるのは、私が好きなのは単純な「細い犬」ではないということです。 余計な重さを持たない身体。 長い首から肩、背中、腰、後肢へと流れていくライン。 一見すると繊細なのに、実際に走れば地面を強く蹴り、身体全体を使って前へ出る。 繊細さと力強さが同じ身体の中にある。 私はそこに、サイトハウンドならではの美しさを感じます。 そして犬種を見比べていると、「美しい」という言葉ひとつでも、その形は決してひとつではないことが分かります。 砂漠を走ってきた犬と、草原を走ってきた犬。 大型の獲物を追った犬と、小さな獲物を追った犬。 その土地で必要だった機能が身体に残っている。 だから私は、見た目だけではなく「なぜこの形になったのだろう」と考えながら犬を見るのが好きなのだと思います。 犬種標準に載っている犬だけが「犬の歴史」ではない 今回、世界のサイトハウンドを調べていて一番強く感じたことがあります。 それは、現在の犬種標準だけを見ていても、犬の世界のすべては見えてこないということです。 もちろん犬種標準は、その犬種を守り、次の世代へつないでいくためにとても重要なものです。 一方で、その標準が作られるよりずっと前から、人とともに狩りをし、土地に適応しながら受け継がれてきた犬たちもいます。 現在では数が少なくなっている犬。 地域の外ではほとんど知られていない犬。 資料そのものが少ない犬。 そうした犬たちもまた、人と犬が歩いてきた歴史の一部です。 世界には、まだ知らない犬たちがいる Instagramでは全4回で世界のサイトハウンドをご紹介しました。 でも、これで「世界のサイトハウンドをすべて紹介した」という意味ではありません。 どこまでを独立した犬種と考えるのか。 どこまでを地域のタイプや在来犬として考えるのか。 その境界自体が、必ずしも明確ではありません。 だからこそ面白い。 世界には、まだ知らない犬たちがいる。 今回調べたことで、私自身も今まで知らなかった犬たちにたくさん出会うことができました。 そして、サイトハウンドがさらに好きになりました。 この図鑑が、「こんな犬が世界にいるんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。
※記事内で扱う地域犬・在来犬の中には、国際的に統一された犬種標準を持たないものも含まれます。名称・分類・体格などは資料によって異なる場合があります。またInstagram掲載画像は、入手可能な犬種標準、研究資料、実在個体の資料などを参考にAIで視覚化したものであり、実際の個体にはさまざまな違いがあります。
World Sighthounds Guide — There Are Still Dogs We Have Yet to Know
Italian Greyhounds, Whippets and Greyhounds may be among the first breeds that come to mind when we hear the word “sighthound.”
Long legs, deep chests, lean bodies and remarkable speed characterize many of these dogs, which developed to locate and pursue game primarily through sight.
But when we look beyond the familiar breeds, the world of sighthounds becomes much larger.
In our four-part World Sighthounds series, we explored dogs ranging from internationally recognized breeds to traditional regional sighthounds whose histories and populations remain far less documented.
FCI classifies sighthounds within Group 10, divided into long-haired or fringed, rough-haired, and short-haired sections. Yet this formal classification represents only one way of looking at the wider history of these dogs.
Across Europe, Africa, Central Asia, China and India, dogs developed alongside different landscapes, climates, prey and human cultures.
Some became internationally standardized breeds. Others continued primarily as regional hunting dogs or landraces.
Kazakh Tazy offers an interesting example of how these categories can change: the breed received provisional FCI recognition in September 2024 and is now classified in Group 10, Section 1.
What fascinated me most while researching this series was not simply how many different sighthounds exist, but why they look the way they do.
A dog shaped by desert hunting does not necessarily need the same body as one developed on open grasslands or for different quarry.
Their bodies carry traces of geography, function and human history.
This is also what draws me personally to sighthounds.
It is not simply their slender appearance. It is the combination of refinement and strength: a body without unnecessary mass, flowing lines from neck to shoulder, back, loin and hindquarters, and the ability to turn that seemingly delicate structure into powerful movement.
Elegance and functional strength can exist in the same body.
Breed standards are important for preserving established breeds, but the history of dogs did not begin with written standards.
Around the world there are still traditional dogs known mainly within their own regions, dogs with limited documentation, and populations whose classification may differ depending on the source.
So this four-part series was never intended to be a definitive list of every sighthound in existence.
Instead, it was an invitation to look further.
There are still dogs in the world we have yet to know.
And perhaps that is one of the most fascinating things about learning about dogs.
Cuddly Animal
住所:茨城県石岡市山崎3745-6
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